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石油開発の最前線から

石油を中心としたエネルギー・資源開発について考える

なせ中東は石油以外の産業が発達しないのか

考察

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石油開発者が見た中東諸国

中東というエリアは世界最多の埋蔵量、生産量、および輸出量を誇る地域であり、中東諸国 (またはOPEC) は石油産業の本場として、かつてほどではないにしろ、未だ原油価格の決定や各国の石油政策に大きな発言権を持っている。石油開発に携わる者にとっては中東諸国は特別な地域であり、安価で膨大な量の石油や未だ手つかずの油田が数多く眠るかの地は、一種の聖地とみなされている。日本の石油開発企業も日本国政府と協力し、官民一体となったエネルギー外交によって、国際石油開発帝石アブダビ事業、石油資源開発イラク事業などの石油権益にありついている(それが成功か否かは今回の議論の対象ではない)。日本のエネルギー政策として、経済産業省が石油の自主開発比率の引き上げを推進していることから、今後も官民一体による中東諸国へのアプローチは続けられていくものと予想される。

中東に石油以外の産業がない理由

中東諸国は豊富な石油資源に恵まれた地域が多く、サウジアラビアアラブ首長国連邦カタールなど、多くの国々が多大なる石油の恩恵を受けている。オイルマネーによって国が潤い、多くの国民がその富を享受している印象が強いが、一方で歴史的にはとても不運な境遇を辿ってきた。中東の歴史とは、まさに宗教と石油の歴史に他ならない。中東各国の近・現代史については、経済産業省の以下のレポートによく纏められているため、興味がある方はご一読いただきたい。

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E003486.pdf

石油に恵まれた中東諸国ではあるが、その一方で他の産業はさっぱり発展しない。サウジアラビアを例にとってみると、政府の財政収入の約8割を石油に依存し、GDPのうち40%以上を石油事業が占める。さすがにここ2年続く原油安によってサウジも苦境に立たされており、今までのような石油依存はできないと考えたのか、エネルギーや産業分野において脱石油を目指す経済改革戦略を打ち出している。国営石油会社「サウジアラムコ」の上場も、その改革の一環であろう。果たしてその経済改革が功を奏するかどうかについては今後の成り行きを見守るとして、サウジを筆頭とした中東諸国において何故石油以外の産業が発展してこなかったかについて、以下に理由を列挙してみた。

  • 宗教的な対立や数多くの戦争によって、長らく経済活動の機能が失われていた
  • 人が住むには過酷な気候であり、生活を営むのにそもそも適した土地ではない
  • 1960年代まで中東の石油は国際石油カルテルにより支配されており、欧米による石油資源の搾取が続いていた
  • 王政国家の風土と国民の勤労意欲

また、かつて筆者が大学で資源論の講義を受けていた時、担当教授が興味深い話をしていたのをよく覚えている。産業には1の油と9の水が必要となる。中東には1の油はあるが、9の水はない。日本には1の油はないが、9の水はある。だから日本は石油がなくとも世界第二位まで経済成長を成し遂げることができたのだと。